生徒さんのスケジュール管理、どうしてますか?

小学生のうちは仕方ない…と半ばあきらめつつ、親子二人三脚でがんばっているスケジュール管理。さすがに中学校入学後も親が横について面倒をみるわけにはいかないだろうな…とはいえ、いきなり子どもの手を離すのも心配だな…そんな心配をしておられる親御さんも多くおられるのではないでしょうか。

今回採り上げる「Q 1-12:うちの子はスケジュール管理が苦手なのですが…」では、この保護者さんの切実なお悩みにどう向き合っておられるかを参加校さんにお聞きしました。

それでは早速、回答をみていきましょう。

手帳を利用している、と回答した学校が約半数


最も多かったのは「手帳を活用し、自分で管理できるように指導しています」といった趣旨のご回答で、これらは全体の53%にのぼりました。

手帳への記入の仕方を指導したり、学校で手帳を記入する時間を設けたり。手帳の記録を定期的に先生が確認する、と回答された学校も全部で19校あり、なかには回収が毎日、という学校も。(先生、お疲れさまです…!)

学校オリジナルの手帳を開発し活用している、と回答された学校も複数ありました。

以下に、手帳に関する回答例をご紹介します。

有効回答数:58校

安田学園中学校

「生活ノート」を生徒が記入することになっており、担任の先生がチェックすることになっています。このノートは日々の予定や計画をわかりやすく記入できるノートです。自分で書くことで考える習慣が身につき、時間をしっかり管理することができます。

目白研心中学校

「セルフマネジメントノート」というスケジュール帳を毎日提出し、担任が学習計画とその達成度合いをチェックし、コメントをしています。

大妻中野中学校

中学校3年間は「わかば」という学習記録帳があります。毎日の生活を振り返りつつ、翌日の予定を立てる習慣をつけてもらいます。

保護者の方と担任が目を通し、アドバイスをすることで自立した生活を送る手助けとなることをめざしています。

国本女子中学校

「フォーサイト手帳」で一日・一週間の予定を管理するよう指導をしています。
フォーサイト手帳で放課後・帰宅後の時間の使い方を計画し、自宅学習の時間・取り組んだ内容を記録するよう指導をします。(中1の入学時に、先輩の使用例を見せて、使い方の工夫を促します)。フォーサイト手帳は毎朝回収し、担任が学習計画の立て方や、その日あったことなど生徒の日記欄に対してアドバイスやメッセージを書いて返却します。終礼では翌日の持ち物・小テストや各教科からの課題などを確認し、手帳に記入させます。この流れが中1の間に定着するので、中2以降は自らきちんと手帳し、持ち物や宿題などの管理ができるようになります。

かえつ有明中学校

中学1年生の重点目標がこのスケジュール管理です。
特に男子生徒が苦手としていて、教員はその個性に合った管理の仕方をアドバイスしています。
学活・HRではこまめにメモさせています。
念のため、保護者の方々には、メール等で連絡しております。
保護者の方々にも学校からGoogleのメールアカウントを2つお渡ししています。
学校指定の生活・学習手帳「スタディプランナー」や学習計画表があり、年数回の面談でも活用しています。

試験対策ページ

週間ページ

デジタルツールを活用している学校も

デジタルツールを活用している、と回答された学校も複数ありました。
(手帳と併用というケースもありました)

文化学園大学杉並中学校

本校では1人1台パソコンを購入するので、スケジュール管理や勉強時間の記録、担任とのやりとりもできるので安心してください。

京華中学校

生徒全員に配布するタブレットPCやオンラインでの情報共有により、担任が各生徒の家庭学習状況をチェックし、指導を行っています。そういった日々の積み重ねが「面倒見No1」の評価をいただいている理由にもなっているようです。

共立女子中学校

デジタルツールですが、iPadを使って活動の記録や学習記録をつける取り組みなどを行っています。多くの生徒は少しずつ慣れていき、提出物などの遅れがなくなっていきます。また保護者の方に向けての配布物もデジタルでの配信を多くしております。

北鎌倉女子学園中学校

Google カレンダーで学校全体の行事が自動で配信されます。20年4月から運用される生徒用ポータルサイトを確認すると、メール、授業シラバス、授業用のデータなどいつでも見ることができます。プリント類をなくすということはありません。

自修館中等教育学校

タブレットを使って予定の管理をしています。生徒一人ずつに教員から発信したり確認したりすることが可能です。保護者も生徒の状況が確認できます

八王子学園八王子中学校

本校ポータルサイトにてスケジュール管理します。

家庭との協力について言及した回答も

ご家庭と協力して、生徒さんを育てていくと回答された学校もありました。

明法中学校

ご家庭と協力しながら、日常の基本的な生活リズムを確立するために、起床・就寝と勉強開始の時刻を固定する3点固定の指導をおこないます。

駒込中学校

Classiという連絡ツール(アプリ)を使って、学校と生徒のみならず、学校と保護者の方の連携を取っていきます。最初のうちは配付したプリントなどもきちんと保護者の方にもお知らせいたしますが、中2、中3に上がるにしたがって、自立を促すため徐々に自分たちでできるように指導していきます。生活面でも学習面でも生徒・学校(担任)・保護者が三位一体となって取り組みます。

学校の施設を使って復習を習慣化

校内の施設を活用することで、復習など放課後の学習を習慣化できると回答された学校もありました。

西武学園文理中学校

もちろん大丈夫です。習慣化することは成果をあげることに直結すると考えております。具体的には、勉強面においては校内での学習サポートセンターを活用することで、授業後の復習が習慣化されます。そのような設備が整っていることが一つの売りでもあります。

学習サポートセンター(自習コーナー)

スケジュール管理で自己管理力を養う

スケジュール管理の目的について言及された学校もありました。
以下は、生徒さんの自己管理能力を高めていくと回答された学校さんです。

玉川学園中学部

毎年全員に「Handbook & Planner」を配付しています。月単位、週単位でのスケジュール帳となっているのでこれを活用して自分の生活管理をさせています。時間割を自分で書き込み、宿題やテスト等はそれぞれの授業で教員から記入の指示をされます。これを活用することで自己管理の力を高めさせます。

富士見中学校

毎日のスケジュールを記入する自己管理手帳として「フォーサイト手帳」というものを使っています。目標を設定したり、隙間時間を見つけるなど、上手な時間管理と安定した生活リズムを作る手助けとして、また自分だけの大切な振り返りツールとして活用します。

本郷中学校

本郷中学校さんでは「文武両道」「自学自習」「基本的生活習慣の確立」の3つを教育の三本柱とし、日々実践しているそうです。

全員にスケジュール帳を渡しています。中1は授業で宿題を出すとき、また帰りのHRで提出日のあるような手紙を配布したときなど、その都度手帳を机上に出させて、締切日を記入させています。1日数人ずつ朝のHRの際に回収し、担任からのコメントを記入してやりとりをしています。

最初は「記入させない」とできませんが、次第に自ら書くようになり、自分のスケジュールを自分で管理できるようになります。スケジュール管理も含めた「自己マネージメント力」はとても大切なものなので、かなり重要視しています。

ドルトン東京学園中等部

自己管理能力は、ドルトンプランが育む力の1つです。ドルトンプランの柱である「アサインメント」は、生徒が教師と“契約”を交わし、自分が責任をもってスケジュールを設定し、学習課題に取り組む、というものです。最初は教師が提示する共通のアサインメントに取り組み、スケジュール管理の仕方を身につけます。そうした経験を積み重ねて、最終的には、生徒がオリジナルの学習スケジュールを作成し、実行できるようにサポートします。


なお、手帳を自己肯定感を高めるツールとしても使っておられる学校さんがありました。
こちらについては、後日、別な特集で採り上げたいと思います。

学校は最初から自立/自律を求めるわけではない

参加校さんからのご回答は総じて、生徒さんが自分でスケジュール管理ができるようにサポートしていきますといった趣旨の内容でした。

生徒さんの主体性を育むことや自主・自治・自立を掲げている学校さんも、最初から自立/自律を求めるわけではなく、徐々にステップアップできるようにサポートしていると回答されていました。

開智日本橋学園中学校

本校では生徒一人ひとりの「主体性」を育むことを大切にしています。自分自身で管理を行うこともその要素の一つとして重要ですが、入学した生徒みんなが初めからできているわけではありません。本校の様々な仕掛けを通じて徐々にスキルアップできるように教員がサポートしていきます。

中央大学附属中学校

自主・自治・自律を教育理念としておりますが、中学生のうちはサポートがあります。


また、生徒さんの様子をみながら声かけやサポートをしていく、との回答も複数ありました。

日本大学豊山女子中学校

学校という場所には、様々な個性を持った生徒や様々な発達段階の生徒がおります。
それぞれに得手、不得手がありますから一人一人の持っている良さをどう引き出せるかを大切にしておりますし、担任や授業担当者の一番の仕事は生徒をしっかり見ることだと考えます。
しっかり見るからこそ適切な言葉やタイミングで声掛けをすることができます。生徒同士でも自然に声掛けや確認をし合うことを大切にしています。

聖徳学園中学校

大丈夫です。最終的には自分で全てを管理できることが目標ですが、そうなれるよう担任を中心に全教員がサポートします。それは、少人数制できめ細やかな対応を行う聖徳ならではの特徴であると思います。

いかがでしたか?
中学校生活に対するご心配を少しでも減らしていただけましたら幸いです。

中学生の日々の生活についてもっと知りたい方はこちらのQ&Aもご覧ください