校風を知りたい! ②東洋大学京北中学校

志望校を決めるとき、やはり気になるのは校風…ですよね。
学校はどんな雰囲気なの?どんな生徒さんがいるの?引っ込み思案なうちの子でもなじめる?…などなど、気になることはいっぱいあるのに、コロナ禍で学校訪問もままならない現在、志望校選びに頭を悩ませていらっしゃるご家庭は例年以上に多いのではと思います。

なんとか校風を理解したいとオンライン説明会に臨んでも、情報が多すぎてかえって混乱してしまったり、そもそも説明会の数が多すぎて、参加できない・内容を覚えていられない…といった状況になっている方々も多いのかもしれません。

そこで、私たちオンライン合同学校説明会ではこれから、参加校の先生や生徒さんへのインタビューにも力を入れていきます。

さまざまな質問に、先生や生徒さんがどう答えているかを読んでいくうちに、少しずつ学校の輪郭が浮かび上がってくる……そんなふうに校風を感じ取ることができる内容にできるよう、頑張ります!


シリーズの2回目は、東洋大学京北中学校さんです。2020年8月1日開催の「2021年度入試 学校説明会」でお話をされた内容をもとに、東洋大学京北中学高等学校の校風について、広報部長の井出先生にお話を聞きました。

Q:男子校から共学になり、校風はどう変わりましたか?

―― 2015年に共学化し、今年は6年目となります。校風はどのように変わりましたか?

井出先生:
男子校時代はいわゆる「面倒見の良い学校」だったのですが、現在は、自主性尊重型へと舵を切っています。

―― どのようなきっかけがあったのでしょうか。

井出先生:
校長(※)の方針です。校長は我々教員に、「手をかけすぎてはだめだ」「手をかけすぎると子どもの成長が止まってしまう」とよく話します。私のような男子校時代から本校にいる教員は、ややもすると面倒を見過ぎてしまう、手をかけすぎてしまうところがありましたので、そのあたりのさじ加減を学びながらやってきました。共学になって今年で6年目、そうした変化も定着しつつあります。

※編集担当注:
東洋大学京北中学高等学校の校長である石坂康倫先生は、初代東京都立桜修館中等教育学校校長を務めた先生です。東京都立日比谷高等学校校長を経て、2012年、学校法人東洋大学が設置する京北中学校・高等学校・京北学園白山高等学校3校の学校改革のため、校長に就任しました。

―― 男子校の先生にとって、女子生徒さんへの対応は難しかったのでは?

井出先生:
正直、最初は戸惑いました(笑)。でも今年で6年目、高校は2巡する年になりましたので、今ではすっかり慣れましたよ。

―― 生徒さんの男女比は今、どのぐらいになっていますか?

井出先生:
今年の中学1年生、まさに1:1でした。

―― 動画を見た時、女子、たくさんいるなあと感じました!

(↓下記動画は運動会の様子です)

Q:部活動の考え方は?

―― 男子校時代は「運動部が強い」というイメージが強かったのですが、現在、部活動に対する考え方はどのようになっていますか?

井出先生:
文武両道…というほど部活動を厳しくはやっていないのですが、フィフティーフィフティー、勉強も部活動も同じように大事にして欲しいと考えています。部活動も、人間形成にとても大事なものですので。ただ、勉強のほうを中途半端にして部活動に行く、ということはできません。

―― 中途半端、とは…?

井出先生:
補習の対象となった場合、勉強のほうが必ず優先となります。
これは、全国制覇をするような部活動であっても例外はありません。
とはいえ多くの生徒は、部活動に参加したいからと頑張って合格してくれていますよ。

―― 確かに、説明会の動画でも生徒さんのクラブ活動が大好き!という感じが伝わってきました。

(↓下記動画はクラブ紹介です)

Q:どのようにして基礎学力を向上させていますか?

―― 補習は頻繁に実施されているのですか?

井出先生:
朝学習の時間に実施している英・数・国の朝テストや、授業時間内の復習テストで不合格になるともれなく補習がついてきます。その他、定期考査後にもフォローアップの補習を実施していますし、夏期講習・冬期講習でも指名補習を実施しています。

―― 朝テストは単元が終わるごとに実施されるのでしょうか。

井出先生:
いえ、単元が終わる前でも。朝テストは毎週ありますので、先週習ったところが出題されるといったイメージです。

―― テストの対策をすることが復習になるのですね。

井出先生:
はい、そうです。範囲もしっかり区切られていますので、家でちゃんと勉強してくればできます。自宅で復習をするという学習習慣を定着させ、良い循環ができるようにしたいという目的でやっていることですので。

Q:なぜ「全科目履修型」なのですか?

―― 学習に関する特色として、校長先生は説明会の中で「本校の教育課程は全科目履修型です」とおっしゃっていました。

井出先生:
はい。本校のカリキュラムが文系・理系にわかれるのは高3からで、高2までは全員が全科目を履修します。

―― 全科目履修は、生徒さんによっては大変…ということもあるのではと思うのですが…

井出先生:
そうですね。個別相談等でこの点についてご質問を受けた場合、私自身は「大学進学という観点で見ると大変ではあります」と正直に申し上げています。

―― それでもやはり「全科目履修」を方針としているのはなぜなのでしょう?

井出先生:
大学合格が最終目的であるならば、高2あるいは高1から文系・理系を分けてしまうことが合格への近道となるでしょう。ですが、これからの社会へと巣立っていく生徒たちのことを考えるならば、一人ひとりにできるだけ多くの「引き出し」を持たせることが重要です。

そのように考えまして、本校では大学受験を最終ゴールとは考えるのではなく――校長は「教養主義」と申しておりました――より先を見据えて「全科目履修」を方針としています。

―― もうひとつの東洋大学京北さんの特徴として、コース制や特待生制度もないことが挙げられます。

井出先生:
生徒を区別しないのが校長の方針です。

本校は、進学実績を出すことを最終的な目的としているのではなく、哲学教育(※)を中心に自己を磨いていけば、必ず進学実績もついてくるという考え方をしています。

※哲学教育とは

「哲学」とは、世の中であたりまえとされていることについて、その前提から問い直し、よりよく生きることを求めて考え続けることです。「友達って多いほどいいの?」「頭がいいってどういうこと?」「どうして勉強しなきゃいけないの?」など、身近なことに「?」をつけて筋道立てて考えられる力を、東洋大京北中学高等学校では「哲学する力」と考えています。

東洋大学京北中学校ホームページより

より詳しくは、ホームページ学校案内をご覧ください。

(↓下記動画は、東洋大学京北の「哲学教育」と「国際教育」の紹介です)

Q:哲学教育の成果は?

―― 哲学教育では、ものの見方や考え方の基礎を身に付けることに重点を置いているのですよね。

井出先生:
そうですね。物事について深く考える、そして判断して実行していけるようにと。少しずつでも自分自身の信念をしっかり構築して、最終的にはひとのために活躍できる、人のために何かできる人に育ってほしいと願っています。

―― そうした成果は出ていますか?

井出先生:
ここ数年、生徒たちに、自分のことだけでなくまわりのことにも気を配るといった行動が随所に見られるようになってきたと感じています。

実は先日、七夕の笹飾りをしたいと生徒会から発案があり、全校で実施したのですが、そこに生徒たちが寄せてくれた短冊を見て驚きました。自分の願い事だけでなく、友達のことや家族のこと、世界のこと、日本のこと、そういったことをを書いている生徒がとても多かったのです。私も驚きましたし、校長をはじめ多くの先生がざわめいていましたね。

本校のテーマは「よりよく生きる」ことです。哲学教育を通じて人生について考える中で、周りの人が良い状態であることが巡り巡って自分の幸せになると気づくようになる――その成果が、こんなところにも出るのだなと嬉しく思いました。

とはいえ、中高の在学中は「哲学教育ってめんどくさいなぁ」と思っている生徒もいるだろうとは思います。ただ、大学生になって、あるいは社会人になってから、物事をじっくり考えられる自分に気付いたり、これからどうしようかなと悩んだ時に、哲学の時間にこういうことしていたよなと思いだしたりするんだと話してくれる卒業生は多いですね。

―― 在学中は気付かなくても、社会人になった時、自分の中に「軸」ができていることに気付けるのは素敵ですね。本日はありがとうございました!

東洋大学京北中学校さんでは、9月19日(土)にオンラインでのオープンスクール(授業見学・授業体験)を実施されるそうです。

ご参加お申込みは下記より。

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