おとなしめの生徒さんこそぐんと成長できるPBLを入試で先行体験 ~ 探究型入試紹介⑤ 和洋九段女子中学校 ~

インタビュー③ 学びと探究

「時には失敗もするけど、うまくいった時はすごく楽しい」

――失敗しても立ち直ることができる力(レジリエンス)を持った生徒さんが育ちそうですね。

和洋九段
そうですね。それは本校が育てたい人物像のひとつではあります。ルーブリックで言うと、「C-1」の「主体的に行動し、失敗を恐れずに自らの意見を発表できる人物」にあたります。

――心置きなく失敗できるのは学生の特権でもありますよね。

和洋九段
私たちもそう思っています。

生徒たちが「時には失敗もするけど、うまくいった時はすごく楽しい」「今はチャレンジの時なんだ」と思える体験を大切にしたい。だから、生徒たちが失敗した時の先生たちの声かけは「ここまでできたんだから次、こういうふうにできるんじゃない」といったものになることが多いですね。単純なダメだしではなく。

――高校での自主活動(探究)のテーマはSDGsに限られるのでしょうか?

和洋九段
いいえ、そんなことはありません。

高校生の中には、たとえば介護の問題や文化の問題などSDGsではカバーしきれない社会課題をテーマにしている生徒がいます。そこで「SDGsの何番」と決めつけてしまえばせっかくの探究が止まってしまいますよね。

SDGsはもちろん重要。でも、社会はもっと広くて深い。
ですから、高校の探究テーマは中学生よりも自由度を少し高めています。

ただ、最終的には社会にインパクトを与えること、アクションを起こすことを重視する。学校の中で色々なことを考えるだけでなく、その先にある社会を意識しながらやっていく。そこは全員が共通して意識するようにしています。

「探究って、そういう考え方から一番縁遠いもののはずですよね」

――探究を通じて生徒さんに経験して欲しいこととして、失敗や経験を積むことの他に「ひとつのテーマを追い続けてキャリアや進路に活かす」ことも重視していますか?

和洋九段
探究を通して自分が見つけた課題やテーマをもとに進路選択をする生徒が増えたという印象は持っていますが、それはこちら(学校側)が意図的にそうした結果ではありません。

本校の生徒はPBLを通じて深く考えるようになっていきますし、在学中からしっかり社会とつながって企業さんとも一緒に活動する子も多くいます。そういった生徒たちが大学から評価されてもいいよねと思ってはいますが、だからといって生徒に「こういうふうにしなさい」と言うのはうちの学校に合わないと申しますか…なにか違うなと私は思うんです。

特進クラスに入ってレールを敷かれて「あなたたちは(大学受験は)絶対に一般だよ!」とか「君は偏差値がいくつだからここの大学がいいよ」とか。逆に「探究をやってきたんだからあなたたちは絶対に総合型で絶対こういうところに受かるんだよ!」とか――探究って、そういう考え方から一番縁遠いもののはずですよね。

せっかく探究活動を通して深く考える力を身に付けたのですから、生徒たちには「ねばならぬ」とか「これが普通」「これをやっておけばいい」といった考え方をしてほしくない。進路は生徒自身がどう生きたいかを考えた結果の選択だと思っていますし、私たちとしては生徒がどう考えるか・どう感じているかを大切にしてあげたいと思っています。

――進路指導の際、総合型を重視しているということではないのですね。

和洋九段
多くの女子校さんがそうであるように、本校でも推薦系を選ぶ生徒は多いです。最後まで一般で受験するのは全体の2~3割といったところでしょうか。ですから、数字でどうなのと聞かれればそういう割合ですというお答えにはなるのですが。

ですが、(一般と推薦の)どちらかに寄っているということではなく、オーダーメイドというか求めたものにはよりそっていけるようにしましょうねという点で、先生方のコンセンサスが得られていると思っています。

一般受験はなるべく行かないように指導しているかといえば全くそうではありませんし、一般受験の生徒には最後まで特別講習を開いてかなり細かく進路指導、受験指導をしています。

――そしてもちろん、推薦を選んだ生徒さんの小論文や面接の対策もしっかりと。

和洋九段
もちろんです!
今年はすごく大変でしたね…。模擬面接も志望理由書もそうですが、推薦書も。

生徒が書く志望理由も課題も、教員が記入する部分に求められる内容も、質・量ともにぐっと上がってきましたので、私たちも一層力を入れていかなければと思っています。

――先生方は大変ですね… そのあたりの面倒見もよい学校さんであることも伝わってきました。

インタビュー④ 入試出願を迷われている方へ

ちょっと引っ込み思案なお子さんが成長できる理由は

――出願を迷っていらっしゃる方に、改めて和洋九段女子中高さんの魅力をお伝えするとしたら、どんな言葉になりますでしょうか?

和洋九段:
PBLで授業をやっていると聞くと「ぐいぐい前に出る子向きの学校なんじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、決してそんなことはないのです。

どちらかといえば、むしろ「そういうのはちょっと苦手かも…」みたいなお子さん…ちょっと引っ込み思案だったりするお子さんが本校に入学し、授業を通して自信をつけ、成長していっています…ということをお伝えできればと思います。

――実際に入学しているお子さんもちょっと引っ込み思案なお子さんが多いのでしょうか?

和洋九段:
そうですね、比較的多いと思います。

本校のホームページでは、「Stories(ストーリーズ)」という生徒インタビューを連載しています。すでに50人以上の生徒に話を聞いているのですが(2022年12月末現在)、その中で「私、小学校の頃はすごく活発でした」という子は本当に数人にひとりいるかいないかで。

むしろ「男の子とは一切話せなくて」とか「図書館にいりびたっていました」とか、そういう子のほうが多いんです。そういった子がPBLを経験する中で「自分は受けいれてもらえるんだ」と実感してくれている、そういった話がたくさん出てきます。

――おとなしめのお子さんが、PBLを経験する中で「自分は受け入れてもらえるんだ」と実感できるようになる。それはなぜなのでしょうか。

和洋九段:
小学校の授業参観で、こういった風景を見たことはありませんか?

先生が「この問題分かる子」と質問すると、ほとんどの子が「はい!」って手を挙げて、指名された子が答えを言う。次に先生が「どうですか?」と言い、みんなが「いいでーす!」と答えるような。

――何度も見たことがあります。

和洋九段:
こういう授業は、いわゆる「できる子」にとっては楽しいかもしれません。みんなから「いいです」と言ってもらえますし。

でも、実際にはそういう子ばかりではないですよね。正解を答えられることが正しいことでみんなから称賛されることなんだとすりこまれてきた結果、「絶対に合っている」と確信できる時にしか手を挙げなくなったり、授業中に発言しなくなってしまったりという子が結構な割合でいるんですよ。

――ああ、確かに…。

和洋九段:
そういった「負の影響」から少し自由にしてあげられるのが、本校のPBL授業なのではと思います。PBLの場では否定と批判は禁止されているため自由に発言することができ、自分は受け入れられているのだと感じることができます。PBL以外の場でも本校の教員は、間違った答えに対しても「それは今回はちょっと違うけれどそういう考え方もあるよね」といったフォローをしてくれますので、発言することが怖くなくなっていきます。

加えて、プレゼンテーションの機会も多く、先ほどお話したように「失敗上等」と思えるような機会もたくさんありますので、数をこなす中で自分に自信がついてくる。だからこそ、おとなしいお子さんもぐんと成長できるではないでしょうか。

――Storiesのエピソードでは、たとえばvol.36などが、小学校の授業との和洋九段さんの授業の違いにふれていますね。

和洋九段:
Stories(ストーリーズ)は生徒の言ったことを極力そのままの形で載せるように心がけていますので、本校の雰囲気が伝わりやすいと思います。

総合型もSDGs型もキーワードは「協働」

――PBL入試は、体験会に出席していないお子さんでも受験は可能でしょうか。

和洋九段:
自分で考えることや未知のことに挑戦するのが好きで、話し合いや発表をするのが好きなお子さんであれば、体験会に来ていなかったとしても当日他のお友達と協働したり自分で考えてきたことをしっかり発表したりできるのではと思います。

――特に「総合型」で求められるのはどのような力でしょうか。

和洋九段:
PBL(総合型)入試は、簡単に言うと「グループで協働、みんなで協力をしながらより良いものをつくりあげていく」試験です。

お題が出されてそれについて個人で発表して、グループの中で一番の意見をふまえてみんなでブラッシュアップしていきます。

その過程をどのような観点で評価しているのかについては、こちらの動画をご覧ください。

――「発表が上手か」を見る試験ではないことがわかります。

和洋九段:
評価項目は数十項目あって、それらを一つひとつ見ていく形になります。たとえば「周りのお子さんと協働できるか」「人の意見をしっかり受け入れることができているか」「話を聞く時にうなずきながらメモを取っているか」いったところも全部採点対象になります。

――では、「SDGs型」で求められるのはどのような力でしょうか。

和洋九段:
PBL(SDGs型)入試では、当日考えてもらうテーマと評価軸がすでに公表されています(「2023年度 和洋九段女子中学校 PBL入試(SDGs型)説明動画」をご覧ください)。

試験当日は、発表資料の準備(45分)とプレゼンテーション(発表5分・質疑応答5分)で評価します。

PBL入試(SDGs型)説明動画

――事前に試験問題がわかっているのですね!それはなかなか他にはない入試の形だと思います。…とはいえ、テーマはちょっと難しそうで心配、という方もいらっしゃるかもしれませんが…

和洋九段:
小学生のお子さんがひとりで考えるのは難しいと思いますよ。だからこそ、親御さんやお友達、学校の先生を巻き込んで考えていただきたいのです。

――なるほど、ここでも協働が大切になってくるんですね。

和洋九段:
はい。総合型では「入試当日」の協働が大切ですが、SDGs型の場合は「入試の前」に協働をすると考えていただくとわかりやすいのではないでしょうか。入試前に色々な人とテーマについて話して考えを深めて、入試当日にそれらを自分の言葉として語れるようになっていればきっと大丈夫ですよ。

――わかりました。本日はありがとうございました!

参考:PBL入試の概要

※下記情報の活用にあたりましては、念のためご自身でも「入試要項」の記載をご確認いただけますようお願いいたします。

PBL(総合型)

入試概要

  • 試験日: 2023年2月1日(水) 午前(集合 8:30)
  • 試験科目:PBL型授業を通して、論理性、協働性、表現力など、総合的な力を評価
  • 当日のスケジュール:
    • 8:50〜10:40 PBL

出願とスケジュール

  • 出願開始日時:2023年1月10日(火)
  • 出願締切:  2023年2月1日(水) 7:30
  • 合格発表(WEB): 2023年2月1日(水) 16:00 ~ 2月6日(月) 16:00
  • 合格発表(掲示): 2023年2月1日(水) 16:00 ~18:00
  • 入学手続締切:2023年2月6日(月) 16:00
    • 納入金:入学金 300,000円
    • 「入学予定者説明会(2月11日・土祝)までに本校窓口へ納付控をご提示ください」「書類の受取は、2 月11日( 土・祝)でも可能ですが、事前の受取をお勧めいたします」

PBL(SDGs型)

入試概要

  • 試験日: 2023年2月1日(水) 午後(集合 15:00)
  • 試験科目:SDGsを題材に個人で行う課題解決型の試験で、主に思考力、表現力を評価
  • 当日のスケジュール:
    • 15:20~16:05/16:25~17:10 PBL

出願とスケジュール

  • 出願開始日時:2023年1月10日(火)
  • 出願締切:  2023年2月1日(水) 14:00
  • 合格発表(WEB): 2023年2月1日(水) 22:00 ~ 2月6日(月) 16:00
  • 合格発表(掲示): 2023年2月2日(木) 9:00 ~12:00
  • 入学手続締切:2023年2月6日(月) 16:00
    • 納入金:入学金 300,000円
    • 「入学予定者説明会(2月11日・土祝)までに本校窓口へ納付控をご提示ください」「書類の受取は、2 月11日( 土・祝)でも可能ですが、事前の受取をお勧めいたします」