日本女子大学附属中学校 椎野校長先生のお話・穴埋め式まとめノート③

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容の主要部分を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
日本女子大学附属中学校(神奈川県川崎市多摩区)の校長である椎野秀子先生のお話(全4回)の第3回です。

※その他の回をお読みになる場合は、下記リンクをご利用ください。(配信後、順次追加していきます)
第1回  第2回  第4回(準備中)


番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!

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Topics1:アフガニスタンとのつながり

10年以上続けている学び

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
(前略)今回は、先生が最近気になっているニュースや社会課題について教えていただきたいと思っているのですが、いかがでしょうか。

日本女子大学附属中学校
椎野秀子
校長(以下、椎野):
まずは大きなところから。世界を考えた時には、アフガニスタンの政情…今の危機的な状況を大変憂いております。と申しますのは、実はアフガニスタンと本学園の関わりが深く、中学(1)年生にアフガニスタン人の――日本でお医者さまをしていらっしゃるのですけれども――その方がお話をしてくださって。

このコロナ禍でアフガニスタンの医療がどうなのかといったお話をしたあとに、生徒が、同じ時代を生きながら学ぶチャンスをもらえていないというそのことに対してとても中学生ながらにジレンマを感じている、その気持ちをどうしたらいいかというようなことを――レシャード先生とおっしゃるのですが――その先生に訴えかけて、話を聞いたというような講演会もいたしました。それが中学2年生に向けての「国際理解教室」のひとこまでございます。

おおた:
アフガニスタンのご出身でお医者様をされている方が。そんなことがあるんですね。
もともとアフガニスタンと日本女子大学さんにはつながりがあったわけですよね。

椎野:
そうです。おくれていますアフガニスタンの女性教育に力を貸そうと、日本の5つの女子大学がまとまって、コンソーシアムを行って。その中に本学も参加していたので。

中高の校長で理科の教員だった者なども、2度にわたってアフガニスタンに出かけて、アフガニスタンの女性教員に「理科の実験って、こういう器具を使ってこういうふうにすればできるのよ」というようなことを教えに行ったり。それから、あちらの先生と高校生2名を中・高で(特に高校で)招待して暮らしていただくといった短期の体験を何年かにわたってしてきました。そういうところと今、連絡がとれなくなってしまっているというのが…厳しいです。

<確認クイズ>
(1)に当てはまる数字は何でしょう?

テスト

ひとつの国に特化して深く考えることの効用

おおた:
政権が転覆というか…体制が変わってしまって…

椎野:
そうですね。そのあたりのことを、中学2年生の入り口ではどうしたらいいのかというと、中学生の段階ではまずは事実を知ることが国際(2)と考えますので。授業の一環としての国際(2)を「広く」やっていた時代もあるのですが、この学園とアフガニスタンとの関係を考えた時に、ひとつの国に特化して深く考えることが、やがてもっと広い視野で全体を考える方法になると思いましたので、ここ10年以上はアフガニスタンを入口にして国際(2)を考えていこうという授業や行事を展開しています。

おおた:
ああ、素晴らしいですね。
(中略)日本もジェンダーギャップというところでは決して他国に自慢できるような状況ではございませんけれども、(アフガニスタンでは)宗教的な影響によって女性の権利が制限されやすい、もともとそういう文化的背景があったところに、さらに保守的な(中略)国の体制になってしまって。我々日本に暮らしている人たちからすると、ちょっと想像がつきづらい、大人の私であってもどうしているんだろうと想像がつかないぐらいの状態になっていると思って。

<確認クイズ>
(2)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

私達が、私達の力でできることはなんだろう

おおた:
それを、世界の国のことを知るというのは、色々な国のことをたくさん、広く知っていくことも大切なんでしょうけれども、ひとつの国に焦点を絞って、多感な時期ならではの想像力をフルにはたらかせて知っていく。そうすると視点が深まっていくでしょうから、それを自分なりに「横展開」していく。あの国ではこうなのかな、この国ではこうなのかなと。それが自分の学びにもつながっていくということもあるでしょうね。

椎野:
講演をうかがうだけではなくて、もちろん、色々な自分で選んだ本を参考にしてレポートを書いたりといったことをする中で、何かしたいという気持ちが湧き上がってくるものですから。

その一連の動きの中で、アフガニスタンにランドセルを贈ろうという運動にぜひ自分たちも参加したいと言って生徒たちから動きまして、文化祭で集めて送ることができました。細々とした活動ではありますが、発想が生徒にあったということでできた活動だなと。

おおた:
中古のランドセルを集めて。

椎野:
そうです。そのルートがつながっているかも心配だったのですけれども、そのあたりをきちんと確かめるのは教員たちの仕事にしました。でも生徒たちは本当に、自分たちで呼びかけて輸送費も募金でまかなってという形で行いました。生徒たちは学ぶチャンスに恵まれていない同じ(3)を生きているアフガニスタンの子に、「私達が」「私達の力で」できることはなんだろう…ということに、心ざわつきながら、いてもたってもいられないような思いで動いたんだなと思っております。

おおた:
感受性が刺激される機会というのは、中学生にとって貴重だなと思います。

<確認クイズ>
(3)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics2:校風

「自分でなろうと思うのさ」

おおた:
あとは、いかがでしょうか?

椎野:
(中略)中高生の心の荒廃というものにどうやって手を差し伸べていったらいいのかということが、いま、学校の現場では一番心憂えていることかと思います。「親ガチャ」というような言葉もあり、コロナ禍にあって日本の若者の不公平感とジレンマのようなものがあるなというのは――いつの時代も心の荒廃は出てきますけれども――今年は特にそのことを思っております。

おおた:
コロナ禍ではまさにExpressionの機会が奪われがちですからね…

椎野:
そうですね、そうですね。

おおた:

もやもやした気持ちは若者であれば誰しも持つものだと思いますし、それを間違った形ややりすぎちゃった形で発現してみたりというのも若者の特権だったりするわけですけれども、(今は)なかなかそういうことが表現できない難しさはありますよね…

椎野:
(本校の)中学生が夏目漱石の「わたしの漱石、わたしの一行」というコンクールに出したんですね。その中で賞をいただいた2年生(の作品が)冊子になったものが昨日届いたので、それを読んでおりましたら、その子は漱石の「二百十日」を読んで、選んだ1行は「不公平な世の中に生れれば仕方がないから、世の中がしてくれなくても何でも、自分でなろうと思うのさ」でした。

夏休みに、自分が一生懸命打ち込んでいるクラブ――たぶんミュージカルクラブだったと思うのですが――が、いきなりメールで「明日からのクラブ活動を停止します」というのが来たと。その現実に対して「私たちこんなに我慢してるのに!」と。(一方で)画面で見る画像のひとたちはみんな自由にやっているじゃないかというようなことを憂いたり憤ったりするんですけれども、

でもそうなった時に、世の中の不公平さを、漱石の時代の若者もみんな誰もが感じていて、いつの世も同じだったとすれば、この「自分でなろうと思うのさ」という1行を復唱しながら私はこれから力を得ていこうと書いた作文に賞をいただいているんです。

そういう心が、中高生の――私達の学校の生徒たちの中の(4)だなと改めて思いました。

<確認クイズ>
(4)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

集うからこそかもしだされる空気

椎野:
その一方で、私が朝礼で話したのは――この話を聞く前だったのですが――フランスのブルデューの「ディスタンクシオン」という本の中に、あなたが好きで選んだと思っている趣味でも大好きなアーティストでも、実は全部、社会や家庭や学校という規範の中によって選ばされたものなんですよという、そういう難しい本があると。(中略)それを紹介しまして。

結局、自分がおかれている状況をちゃんと理解することからしか自由は生まれない。それを思った時に、やはり私たちは、生徒たちが自由に選びとれていくそのたくさんの環境の降るような刺激、シャワーのような刺激を与えて、いつでも生徒の(5)の味方でありたいなというふうに、放送朝礼で申しました。

一方で「親ガチャ」(という言葉に対して)その発想を裏返したときに、私自身の自由はどうやって勝ち取るの?ということがちゃんとわかって、この環境に感謝していった時に「アフガニスタンの人ってかわいそうよね」ではない活動や発表をしていってくれる大人になっていってくれるものと(考えています)。

おおた:
今出てきたブルデューというのは、フランスの社会学者のピエール・ブルデューですよね。自分の「これが好きだ」「あれが好きだ」という好み自体が、あなた自身が浴してきた文化の中で形成されてきたものなんだからね、そこを自覚しなさいよというそういう話ですよね。

そしてまさに、各ご家庭にご家庭の文化――親御さんの、あるいは代々受け継がれてきた価値観――や地域の文化があって、その人の個性はそれを土台にして作られて来ている。私学のように、中学受験をして色々なところから(生徒が)集まって来ると、そこに文化の多様性がきっとあって。

自分の当たり前は当たり前ではない、なんこうなの?といった発見が色々とあって。お互いの文化をシェアしあうというのは、学校に集う――生身の人間として集うことで化学反応がおこることが学校の魅力で。それがあるからこそ、どんなにオンラインが発達したとしても、やはり生徒たち、生身の人間、先生と一緒に味わってお互いに影響を与え合う学校というものはなくならないんだろうなと思いますよね。

椎野:
そうですね。集うからこそかもしだされる空気というか、風というか。
生徒が以前、「この学校の空気が好き」と申しました。そこなんだろうなと思います。

おおた:
すごくわかります。日女さんの空気は居心地がいいんですよ。
本当にのびやかな空気がありますよね。


いかがでしたか?
日本女子大学附属中学校の椎野秀子校長先生のお話・次回(第4回)配信分のテキストは こちら(準備中) からご覧いただけます。


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