品川翔英中学校 柴田校長先生のお話・穴埋め式まとめノート

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容の主要部分を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
品川翔英中学校・高等学校(東京都品川区)の校長である柴田哲彦先生のお話です。


番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!

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Topics1:教育理念

転ばない」教育ではなく「転んだら立ち上がる」教育を

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それでは、品川翔英中学校・高等学校の校長、柴田哲彦先生にお話をうかがっていきましょう。柴田先生、よろしくお願いします


品川翔英中学校・高等学校
柴田 哲彦
校長(以下、柴田):
どうぞよろしくお願いします。

おおた:
最寄りの駅としてはどこになるのでしょうか?

柴田
JRの西大井駅と大井町駅です。

おおた:
最近の学校のご様子はいかがですか?

柴田:
学校は生徒数がとても多く来ていただきまして。すごくにぎわった感じでエネルギーに満ちていて。見ようによってはカオス状態ではないかというほど活気がございます。

おおた:
そうですか!先生が校長先生に就任されたのは、ちょうどこの校名変更のタイミングでしたよね。ですから2020年の4月から先生が校長先生になられて。ということは、先生がこの品川翔英の校長先生としてスタートを切る時に、ちょうどコロナの一斉休校だったという…

柴田:
そうです。開校と同時にコロナで。入学式もオンラインでしたから、生徒たちと会わないまま授業が開始したんです。

おおた:
それは過酷なスタートでしたね…

柴田:
そうですね。職員室から電話でオンラインのつなぎ方とか、そのやりとりからスタートしましたね。

おおた:
学校の名前を変えて、共学化して。色々なことが変わって「大丈夫だろうか」というときに、さらにコロナが重なってしまって。新校長として…

柴田:
ええ。先生方もそうですが、私も初めての経験としてもまれましたね。

おおた:
ですよね…それはそれは大変だったことと想像いたします。
今は大変にぎやかだということなのですが、この品川翔英という学校はどういうことを大切にして教育を行なっている学校なのでしょうか?

柴田:
校訓が自主・創造・貢献でして、私が校長として意識していることは、自分で考えて・自分で判断して・自分で動きましょうと。転ばない教育ではなく、転んだら立ち上がる教育を心がけています。

おおた:
転んでも立ち上がる、失敗を恐れない教育ということかと。むしろ転んだところからどう立ち直っていくのか、立ち上がって前を向き直すのかというところこそが教育ということかなと思います。

Topics2:沿革

2020年、共学化とともに校名を変更

おおた:
そういった校風、考え方はどのようないきさつで作られてきたのでしょうか

柴田
もともと前身が小野学園女子という校名で、創設は、女子教育が否定されていた頃に英語とか数学を教えていたのがスタートでして。貿易商をなさっていた(小野)安之助・進子ご夫妻が始められて。今は五代目の理事長になりますが、校風としては(1)的な考え方が現在も生きています。いつまでも女子だけではなく、今度は逆に幅広くということで――小野時英(おの・ときひで)先生が今、理事長なのですが――理事長の決断で共学化しました。

おおた:
なるほど。創立年は何年でしたか?

柴田:
今年が90周年になります。

おおた:
1932年ということですね。もともと小野安之助さんは貿易商だったのですね。(中略)当初の学校名は 京南家政女学校で、英語ですとか数学ですとか先進的な教育を。要するに、ビジネスマンが興した学校ということですものね。

柴田:
安之助先生が英語や数学を教えられて、進子先生のほうが洋裁などを(教えられたそうです)。洋裁学校の方が全国から習いに来られる方が多くて。寄宿舎もあったそうです。

おおた:
昔は今ほど交通の便も良くないですから、いい学校に行こうと思ったら遠くて通えないから寄宿舎に寝泊まりするのは一般的だったかと思います。(中略)1957年に小野学園という名前が学校名としても使われるようになり、2020年に共学化とともに学校名も新しくなったと。そんな歴史のある学校ですよと。

ちなみに(校名の)「翔英」にはどのような想いを込めて名付けられたのでしょうか?

柴田:
品川から世界に英知が飛翔するという(想いを込めて)。「英」知が飛「翔」する、ですね。

<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics3:保護者様へのアドバイス

大人が腹をくくれば子どもは失敗できる

おおた:
(中略)品川翔英中高流の教育のエッセンスを、ちょっと難しいことだとは思うのですが、一般のご家庭でも子育てに取り入れるヒントをいただければありがたいのですが、いかがでしょうか。

柴田
本校は今、状態としては校則を設けていなくて。「自分で考えて」ということを大事にしておりますので。生徒諸君に言っていることは、ルール・モラル・エチケット・マナーを意識していきましょうと。(中略)そこにあるのが自分で考える――自主を尊重するということと、やはり強制というものはちょっと避けていきたいと。

理事長がいつもおっしゃるのは「学校はやはり楽しくなければ来たくないよね」ということと「人は人の中でしか育たないから、これからICT利活用が進む中で、人でしかやれないことを学校でやってほしい」ということを私、言われておりますので、自主的に学ぶということを大事にしています。

自主と「強制」、そして「放任」――自主と似た言葉ではありますが――をある意味対義語的に(考え)、自主と放任は違うよねということは思っております。

あれをしなさい、これをしなさいという「監視」には限界があるので、今、私が学校で先生方にお願いしていることは、我々がやはり手本となるような行動を毎日指し示すことによって、生徒たちの「自主」という部分が、根底の考えができて進んでいくのではないかなと。そういうことが何もなしに「自主だよ」と言ってもそれは「放任」の領域になるので。

ご家庭においても、お父様やお母様が「おはよう」と言うとか「ありがとう」と言うとか、そういうことを大事にしていかれてはどうかと思います。

おおた:
そういわれると、胸に手を当てて考えると「あいたたた…」みたいなことがどこのご家庭の親御さんにもあるかなと。「勉強しなさい」と言うなら自分も本を読まなきゃだめかなとか、「ゲームばっかりやっているじゃない!」という割には自分は食べすぎちゃったり、お酒を飲みすぎちゃったり(笑)。

そういうところでちゃんと自分で考え自分を律するというお手本を示すことによって、強制や監視をしなくても自分を保つことができる人に育っていく。それが品川翔英流の考え方であって、そんなエッセンスが各ご家庭でも――これは「まず親御さんがしっかりしましょうね」という話ですからなかなか厳しいですけれども。

柴田:
そうですね。それはもう。ご家庭では身近な大人が親御さんであり、学校では身近な大人が私たちですので、本当に、私たちも厳しい中で「律している」というところでしょうか。

おおた:
ほんとですよね。教科学習だけなら先ほどもちょっとお話にありましたICTでもできるのかもしれませんが、そうではない人間のたたずまいみたいなものを身につけていく時に、やはり人は人の中でしか育たないということで、朱に交われば赤くなるといった時のその周りの色を、立派な――立派でなくてもいいのかもしれませんけれども――素敵な色であらなければいけない、そういう学校づくりを先生方が自ら率先して行っているということですね!

柴田
毎日そういうふうにして、私たちが「(自分を)律していこう」ということで日々、格闘の毎日ですから…。

おおた:
おそらく時々は先生方も「あ、やっちゃった!」ということってあると思うんですよね。それはそれで、生徒さんに見られたりとかして「あ、まずい」ということがあるかもしれませんが、それはそれで「先生もやっちゃうんだよね。でもこれからこうしていくからさ」と。先ほど、「一度転んでも立て直す」ということもおっしゃっていたかと思いますが。

そういったお手本を示そうと思っても、先生方も聖人君子ではないわけですから、失敗をすることもあろうかと思います。それもまた素直に認めてこうしていこうと、人間らしさを見せてあげることも一つのお手本かもしれませんよね。

柴田:
ああ、もう本当におっしゃるとおりですね。

おおた:
ちょっとフォローしておきました(笑)。

柴田:
ありがとうございます(笑)。いや、あの、先生方にも「失敗をしましょう」と言っているのですが、失敗ってなかなかできないんですよね。どうしても安全装置が先に働いてしまって…。(本校では)「はみ出すこと」を奨励しているという面もあるのですが。

おおた:
ああ、素晴らしいですね。いや本当に、これは御校だけでなく、今の学校教育は、たとえば不登校の問題などもすごく深刻化しているじゃないですか。そういったところを見ていくと、突き詰めて考えると、学校が本当に「安心して失敗できる場所」――それは生徒さんにだけでなく、先生にとっても――(になること)、学校の中って失敗していい場所なんだ、大人でも失敗していいところなんだという安心感を学校の中にもたらすことというのが実は今、すごく大事なことなんじゃないかと私も思うんです。

柴田:
先生がたにも「失敗してください」と言っていて。「ただし、私のクビが飛んで済むぐらい(の範囲)で(失敗を)してもらえたらありがたい」と(笑)。あ、いや、お前のクビなんかいらないと言われても困りますが(笑)。

おおた:
かっこいい!いや、でもそうなんですよね。「最後は、僕がとれる責任だったら僕がとるから」という人がいることでは本当に組織に安心感を与えますよね。

柴田:
本当に、先生も生徒も転びながらいってほしいという思いがありますからね。

おおた:
そうなんですよね。そこの覚悟が決められないと「じゃあ、誰が責任をとるの」(ということになり)責任をとりたくないから、結局、失敗ができないというふうになっていきますから。

柴田:
そうですね。

おおた:
それで言うと、ご家庭の中でも「お父さんやお母さんが頭を下げてすむようなことだったら少々の失敗はいいよ」というぐらい腹をくくっていると、子どももたくましく育つんじゃないかと、そういったお話だったかと思います。

柴田:
ありがとうございます。

おおた:
校長室訪問、今回は品川翔英中学校・高等学校の校長・柴田 哲彦先生にお話をうかがいました。柴田先生、ありがとうございました。


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