京華中学・高等学校 町田校長先生のお話・穴埋め式まとめノート

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容の主要部分を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
京華中学・高等学校(東京都 文京区)の校長である町田 英幸先生のお話です。


番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

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Topics1:学校紹介

一人ひとりを見ていくことに重点を置く学校

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それでは京華中学・高等学校の校長、町田 英幸先生にお話をうかがっていきましょう。町田先生、よろしくお願いします


京華中学・高等学校
町田 英幸
校長(以下、町田):
よろしくお願いいたします。

おおた:
町田先生とはもう10年以上前から色々と教えていただいて、本当にお世話になっております。ありがとうございます。(中略)校長先生という立場でインタビューさせていただくのは今回初めてだと思います。よろしくお願いします。京華中高さんについて今日はお話をおうかがいしていこうと思うのですが、まず、学校の場所としてはどんな環境にあるのでしたっけ。

町田:
東京都の文京区です。「文の京」なんて言われていまして、文学者がたくさん輩出された場所、その昔は徳川の菩提寺等が多々あったところです。白山という場所にありますから、小石川植物園に近いところで、たとえば(夏目)漱石の「こころ」の話の中などにも出てくるような場所だったりします。

おおた:
最寄りの駅でいうと(都営三田線の)白山。そこから歩いて5~6分でしたっけ?

町田
3~4分で着くと思います。

おおた:
もっと近かったんですね。失礼しました(笑)。
そういった京華中高さんなのですけれども、先生からご覧になって京華中高さんはどんな学校と言えるでしょうか?

町田
うちは男子校で6ヵ年、中高一貫の男子校でやっていますから、男の子が育ちやすい環境であることは間違いないですね。どうしても男の子って自分の趣味の世界に没頭するので道草をくっていこうなんて男の子は得意なものですから。女子がいるとたとえば自分の趣味がキモイって言われてしまうようなものだったりとか、いろんな子がいます。女子がいないことで堂々とそれをやっていけるという意味では、自分の好きな道を一生懸命やっている。

この6ヵ年は非常に大事な6年だと思っています。高校3年間だとおそらく受験に時間がとられてしまうところを、6ヵ年あることで自分の好きなことに集中できる。

おおた:
そうですね。自分の好きなことは何だろう?ああかな、こうかなと色々つまみ食いしてみる(そんな)中学校の時期を高校受験に邪魔されないでいけるというのは中高一貫校のメリットでもあろうし、しかも、男の子だけでという環境で過ごす6年間のメリットでもあるかもしれませんね。そんな話、10年前もしましたね(笑)。

町田:
そうです、そうです(笑)。10年前からベーシックなものはあまり変わっていないのです。結局、好きなことを一生懸命やることが実は男の子の成長の過程で、この学校ではとにかく好きなことをいろいろやらせてあげようという、そういう環境を作っています。なので、好きなこと探しというのでしょうか、中学時代にやってもらおうと。

これをやることで何がついてくるかというと、好きなことだと夢中になるんですね。で、夢中になるものだから、この子はこんなに嫌なこともやるのかな?というようなこともトライしてきます。「やり抜く力」がつくというか。結果が出るといいじゃないですか、(でも)結果が出なくてもなんか男子って自分で、自分がここまでやり切ったというところを…

おおた:
そうですね。やり切った感が。わかるという。

町田:
それが「やればできる」という自信につながってくるんですね。

おおた:
やればできるかもしれないし、結果、できなくても。

町田:
本当にそうです。できなかったからできなかったでいいんですよ。できなくても「ここまでやった」という、それだけでいいんです。それが自信になっていくのがわかっています。子供たちに自信をつけさせてあげて、高校に上がって、何かあったときに「自分はやればできるんだ」と思わせてあげる、それをずーっとやり続けているので。一人ひとりの生徒の個性を伸ばしながら、先生は色々と面倒みていくわけですよ。そんなことをやっています。

おおた:
なるほど。今先生がおっしゃったことって、割と男子校の特徴とかぶる部分が多いじゃないですか。男子校は、今、だいぶ数が減りましたけれども――それこそ10年前と比べたらだいぶ減ってしまいましたけれども――その男子校の中でもこの京華の特長というとどんなところでしょうか。

町田:
まさに「一人ひとりをどうやって見ていくか」というところじゃないでしょうか。勉強なんていうのは――「勉強なんて」と言ってはいけないでしょうけれども――やるべきことはどの学校でもやるわけですから。英語4技能はやるし、アクティブラーニングだってやるし、ICT教育だってやるわけですよ。私学だから色々なものがもう揃っているわけで、だいたい世にあるものをみんな授業でやるわけです。

だからあと(違いが出るところは)何かというと(中略)子どもにどれだけ近づいていくかというその「距離感」じゃないでしょうか。だから(本校は)一人ひとりの子どもたちを見てあげて、この子はここがいいんだろう、あの子はここがいいんだろうと色々な話を聞いてあげるという、そういうところにすごく重点を置いている学校だと言えば良いのでしょうか。

Topics2:沿革

「江戸っ子ぽく、漢籍っぽい」校名

おおた:
なるほどわかりました。そういった京華中高さんなんですけれども、その校風はどのようにして作られてきたのでしょうか。学校の歩みですとかバックグラウンドみたいなところをおうかがいできればと思うのですが。

町田
実は今年で創立125年なのです…

おおた:
ああ、おめでとうございます。

町田:
ありがとうございます。(創立は)明治30年(1897年)、創立者は磯江潤という(人物で)、こんなことを言っています。本当の教育事業は決して外形ではなくてその精神に存するんだと。簡単に言うと、精神がなければ生徒が多かろうが学校が綺麗だろうがそんなものは意味がないんだと。それを自分は大切にしていきたいという理念を持っている。そして「天下の英才を得て之を教育す」といういわゆる建学の精神を打ち立てて、学校を建学したわけです時代としては明治30年ですから、文明開化を経て大きく揺れる社会だったんじゃないでしょうか。

おおた:
日清戦争の後。

町田:
そうですね。磯江潤の恩師というのが品川弥二郎なんです。
品川弥二郎が学校の校名をつけたり、そんなことをしてくれました。

「京華」(という名前の由来は、)東京という言い方を当時、江戸の人は嫌ったんですよ。東京という名前をつけなかったんです。東京(とうきょう)とか東京(とうけい)とか読まないで、漢字で示しただけだった。江戸の人たちは「東の京」なんて冗談じゃねえというので「京(けい)」と読んだんです。ですから京浜急行だとか京浜東北線だとか、いまだに残っていて。これは多分、当時、漢籍の人たちは当然これを「京(けい)」と読むんですね。漢読みの。品川弥二郎は松下村塾の人で、漢籍を学んでいた人ですから。だからこれを「京(けい)」と呼んだので東京の華になるというので「京華」という名前になったんです。

おおた:
なるほど。では、このネーミングはだいぶ江戸っ子っぽいネーミングなわけですね(笑)。

町田:
江戸っ子っぽいのと漢籍っぽいのと両方混じっている。
とか言っているんですけれども、品川弥二郎さんの話だけを聞いていれば漢籍で「京(けい)」。

おおた:
なるほど。そういうことですか。

町田:
それで建学をしていく中で、いろいろなことをやりました。特徴的なのは、保証人父兄会というのをやったんですよ。保証人父兄会、(つまり)学級懇談会。これ、京華が初めてやったんです。

おおた:
ああ、そうなんですか。

町田:
学校の教育は親と学校と本人の3つで織り成すものだ、学校と親の両輪がなければ子どもは育たないという信念のもとにこれをやりだすんです。

おおた:

ああ、それは御校が先駆けだったんですね?

町田:
はい。先駆けはあと2つあって。連携を取れるように「生徒必携」今の(1)、あれもうち(が最初)なんです。それからもう一つは「全会朝礼」ってある、あれもうちが初めてなんです。そういう、なんというのでしょうか、斬新な教育をずいぶんしたんですよね。ですから生徒一人ひとりを育てていこうという中で、その保護者さんとも連絡を取ろうというのがあって、今の教育につながっているのです。

おおた:
当時にしてみれば、情報公開ですね、ある意味

町田:
そうですね。

おおた:
学校の中をできるだけ家庭にも情報公開していきましょうという感じだったわけですよね、きっとね。

町田:
そうですね。何でもオープンにして子弟教育をやりましょうと。お子さんを育てていきましょうと。

おおた:
ああすごい。私は全然知りませんでした。

町田:

これらが、今さっき話した「一人ひとりの子供たちを…」というのにつながっていくんですよね。

おおた:
ああ、そういう歴史があったわけなんですね。
あと、男子校の校長先生として今、お話をされていますけれども、すぐ近くに女子校もあるんですよね。

町田:
はい、そうです。同じ敷地内に商業高校もあります。そして少し外れたところに女子校もあります。

おおた:
そうですよね。男子校と女子校の交流ってあまりないのですか?

町田:

クラブで合同でやっているところはあります。吹奏楽なんて有名ですよね。「混合部」といって、やりたければ女子も入れているクラブもたくさんあるんです。そういうものはあります。

おおた:

なるほど。部分的にはそういうところで――男子校ではあるけれども女子校の生徒との関わりもあったりとか。今、こんな時代ですから、探究の授業とか一緒にやっちゃえばいいんじゃないかと思うんですが。

町田:
ターム留学なんかは、一緒にキックオフから始めていますよ。

おおた:

どんどん男子校が少なくなっていっちゃって、どうしてもジェンダーの理解が足りないからというふうに言われちゃうから、それはそれで男子校の環境を守りながら、でもだったらそこはそこでちゃんと、そういう機会を積極的に作って、ちゃんとジェンダー的な教育も、教育としてもするし、積極的なこともするし、実際にプロジェクトを女の子達とやってというのもどんどんやっていけると。

町田:
ただ、男子校の根幹はしっかりしなきゃいけないなと。

おおた:
そうですよね(笑)。セーフティーゾーンというか、彼らの安全地帯みたいなリザベーションみたいなものは守ってあげながら、そこをベースにしながらこうやって冒険ができるように、色々な出会いができるように…

町田:
そう思います。

おおた:
…してあげるのが、これからの男子校のあるべき姿なのかなというふうに思います。


<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics3:保護者様へのアドバイス

「やる気スイッチ」ってドーパミンなんです。これを出すには…

おおた:
ではそんな、家庭にも開かれた学校であり、そして生徒との距離が近い・生徒の好きなことを探させてあげられる学校である京華中高流の教育のエッセンスみたいなものを何か、一般のご家庭にも応用するヒントみたいなものをいただければと思うのですがいかがでしょうか。

町田:
そうですね。では、二つぐらい。
(一つは)お子さんを持つと、保護者は一生懸命教育をしようと思うわけです。「さぁ、いざ受験だ!」となると塾へ、塾へというふうになると思うのですが、ひとつ言えるのは、さっき言った「好きなこと」を止めてしまうと逆効果だなと思うんです。

これは面白い話があって。だいたい1週間あったら、1日は休みを作ったほうがいいという話が。最後の追い込みでガリガリやってもあんまり伸びないとか、詰めて詰めて、色々な塾に2つぐらい行かせたけど伸びないとか。(でも)休ませてあげると実はいいんだなというのがあります。これは脳科学的にも証明されているんです。脳の中でドーパミンという物質が出るのですが、こいつがやる気スイッチなんです。これはどういう時に出るかというと、自分の好きなことをやっているときに出るんです。これを出してやらないと、勉強のほうに目が向かなくなるんです。

おおた:
ドーパミンが出やすいような状態を作るためには、まずは勉強じゃなくてもいいから好きなことをやってどんどんどんどん出るようなそういうのにしちゃえということですね。

町田:
そうです。好きなことをやらせてあげる時間を作ってあげたほうが、それは週に1回でもいいんだけれども、やらせてあげたほうが効率が上がるという話はこれは本当で。京華では、たとえば「学校行事は一生懸命やりましょう」と、ここはもうとにかく行ったら楽しもうと。宿泊行事でもなんでも、行ったらとにかく楽しんで。それが終わったらまた切り替えて行こうと。これはもう、根本的にそういう発想のもとにやっているので。

あともう一つは…主体性・多様性と言うじゃないですか。よく「主体性を持って」とか「子供たちの主体性・多様性を大切にしよう」とか。主体性って早い話が自信じゃないですか。主体性って、自ら考えて行動できることを主体性っていうんです。主体性がある子は自信がある、自信があるから何でもできる、そういうふうにするためには、たとえば何でも親が決めてしまうと結局主体性が育てないですから。選択肢が与えられないって子どもにとって最悪で。何でもどんどん決めて子供の意見を優先しないと、彼らは結局主体性がない子に育ってしまって。

あとは、「失敗すると怒られる」というのが一番いけない。失敗が悪いことだと思う子は先に進めないので。成績でも何でも低下していくでしょうし。(ですから)失敗を悪いことと思わせないのも大事です。うちの教育の中では選択肢をいろいろ選ばせてあげる、失敗を全然していいよという発想があります。それをそのままご家庭に使えるんじゃないかなと思って、今、お話をした次第です。

おおた:
なるほど。やはり生き生きしている学校って、子どもたちの自己決定の機会がたくさんありますよね。そうすると子供たちは、自分で決めたことというのは――やはり同じことをやるにしても、自分で決めてやったことというのはやっぱり生き生きしてやるし、そこで失敗したら、そして失敗しても怒らなければ、「失敗して悔しいな」と思って今度は自分で試行錯誤を始めるんですよね。でもそれが、スタート地点で「あんたこれをやりなさい」と言われたことだったら(失敗すると)「もうめんどくさいや」となってしまい、試行錯誤が起こらないですからね。

町田:
面白いのは、自分でこの学校に行きたい、京華に行きたいと言った子は割と伸びるんですよ。親御さんは「私が行けって言ったわけじゃないじゃん」と言えちゃうので。伸びる子が多いですよ。

おおた:
それはそうですよね。自分で選んだことに対しては自分で責任を持とうというふうな意識を持っているわけではないですけれども、その、コミットが違いますよね。

町田:
そうですね。子どもでありながら結構大人の部分をちょっとずつ持っているから、そこを大事にしてあげないとつぶれちゃうかなと。

おおた:
ありがとうございます。アドバイスとしてはドーパミンをどんどん出せるように好きなことをやる、時々休んでそういう時間も必要だよということと、主体性を育むと意味で自己決定の機会を持たせてあげよう、失敗しても怒られない安心感を感じさせてあげようと。

校長室訪問、今回は京華中学・高等学校の校長、町田 英幸先生にお話をうかがいました。町田先生、ありがとうございました。


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