Apple Distinguished Schoolも全員留学もすべては「自律した学習者」を育てるため~ 探究型入試紹介⑪ 東京成徳大学中学校 ~

情報が錯そうする中学入試、学校選びのご参考のひとつとしていただけるよう、期間限定企画「探究型入試紹介」の連載を始めました。

入試広報担当の先生や探究を担当されている先生方に直接お話をうかがい、入試の特長や出題の意図、事前準備があまりできていなくても受験できる…?などの気になるポイントをうかがうとともに、その入試が入学後の学びとどのような関係があるのかについてもお話を聞きました。

第11回目となる今回は、東京成徳大学中学校(東京都北区)です。2月5日(日) AM に実施された「Distinguished Learner選抜入試」についてお聞きしました。なお、文末には試験の概要もまとめておきましたので、最後までお読みいただければ幸いです。

このシリーズの連載記事は、当サイト「オンライン合同学校説明会」のほか、年明けの2023年1月6日(金)以降、順次新サイトにも掲載していきます。(新サイトの掲載先は決定次第こちらに記載いたします)

インタビュー① Distinguished Learner選抜入試の背景

全員留学やApple Distinguished Schoolは何のために

――「Distinguished Learner選抜入試」導入の背景についてお聞かせください。

東京成徳大学中学高等学校 
入試広報ご担当の先生(以下、東京成徳大学中学校):

Distinguished Learner選抜入試は、すごくシンプルに申し上げれば「中学受験版のAO入試」です。私たちが育てたい人物像である「自律した学習者(Distinguished Learner)」としての資質を見る入試だとお考えください。

――具体的にはどのような資質を見る入試となっているのでしょうか?

東京成徳大学中学校
チャレンジ精神・主体性・創造性です。この3つを備えた人を私たちは ❝「成徳」の精神を持つグローバル人材❞ と考えています。

――育てたい人物像 = 自律した学習者(Distinguished Learner)=「成徳」の精神を持つグローバル人材なのですね。グローバルと言えば、東京成徳大学中学校さんでは「全員留学」を掲げておられたと記憶しています。

東京成徳大学中学校
本校は長年、中学3年でのニュージーランド全員留学を実施してきました。そして2022年度からはこのカリキュラムを刷新しています。

――どんなふうに変わったのですか?

東京成徳大学中学校
全員留学を1年前倒しにし、中学2年生で2週間のセブ島短期語学留学を実施します。あわせて、これまで中学3年で実施していたニュージーランド全員留学については選択制にし、「グローバル教育(留学タイプ)」と「グローバル教育(国内タイプ)」の2種類を設けます。

新留学プランについて、詳しくは学校ホームページをご覧ください。

――中学3年生での留学を選択制にされた意図をお聞かせいただけますか?

東京成徳大学中学校
私たちが育てたいのは「自律した学習者」です。そこで、生徒たちが「自分で考えて選ぶ」ことをより重視する形に変更しました。

中学2年の全員留学では皆が同じ経験をしますが、その後は自分の目指すものを見つめ直し、自分に合うやり方で自分の世界を広げるためにはどうすればいいかを考えていってもらいます。その上で、中学3年生でのプログラムは自らが主体的に考え、海外と国内いずれかのプログラムを選択します。

――留学=グローバル教育ではないと。

東京成徳大学中学校
はい。留学は ❝「成徳」の精神を持つグローバル人材❞ を育てていくための方法のひとつに過ぎません。本校は「Apple Distinguished School」でもありますが、これについても同じことが言えます。

授業も留学もICTも、そして探究も、すべては「自分で考え、自ら行動できる」そして「新たな価値を創造できる」人物を育てるためのものなのです。

――「全員留学」「Apple Distinguished School」などのキーワードについ目を奪われがちですが、それらはすべて「育てたい人物像」を実現するためのものとしてとらえることが大切なのですね。

インタビュー② 入学後の学び・探究とどうつながるか

Distinguished Learner選抜入試は授業体験の場でもある

――「創造性と自律」の力を培うために、授業ではどのような工夫をしておられますか?

東京成徳大学中学校:

  • 創造性
  • 探究心
  • 協働性
  • 社会とのつながり

の4つを意識した授業を展開しています。

たとえばユニバーサルデザインについて考える中学3年生の授業では、まず外に出て、世の中にある工夫や技術を模写して学びながら、たくさんのアイディアを出し、それを実際に作っていきます。

――Distinguished Learner選抜入試の模擬問題と内容が似ていますね!

東京成徳大学中学校:
そうですね。

入試は学校としての姿勢の表れになると考えています。Distinguished Learner選抜入試では、自分たちで意味を考えながら学んでいく本校ならではの学びの形を体験していただければと思っています。

Distinguished Learner選抜入試の模擬問題&試験の流れ

東京成徳大学中学校さんの授業や学び方については「学習説明動画」や「学校全体でのテクノロジー活用について」などの動画でより詳しくご覧いただけます。

自律した学習者へと「育てていく」ことができる学校

――東京成徳大学中学校さんでは、Distinguished Learner選抜入試以外に教科型の入試も多く実施しておられます。ここにはどのようなメッセージを込められているのでしょうか。

東京成徳大学中学校:
先ほどから「自律」と繰り返し申し上げておりますが、本校に入学する生徒が最初から自律的なお子さんばかりだということはありません。

受験生さんは、学びの基盤となる基礎学力さえしっかりとつけてきていただければ大丈夫です。あとは本校への入学後に私たちが、準備している学びや工夫を通じてお子さんたちを「自律した学習者(Distinguished Learner)」へと育てていきます――あえて言葉にするとしたらこのようなメッセージです。

――そのようにうかがって安心された保護者様も多いと思います。

→ 次ページでは、「先生がプレゼンし生徒さんが選ぶ」高1ゼミの内容や入試出願を迷われている方へのメッセージや入試概要をご紹介します。