千葉明徳中学校・高等学校 宮下 和彦 校長先生のお話・穴埋め式まとめノート

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
千葉明徳中学校・高等学校 (千葉県 千葉市)の校長、宮下 和彦先生のお話です。

番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!

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Topics1:学校の概要

生徒さんが「あてるとよく話す」理由は

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
それでは千葉明徳中学校・高等学校の校長、宮下 和彦先生にお話をうかがっていきましょう。宮下先生、よろしくお願いします


千葉明徳中学校・高等学校
宮下 和彦 校長先生(以下、宮下):

はい、よろしくお願いいたします。

おおた:
(中略)まず学校がどんなところにあるのか、最寄りの駅や周りの環境を教えていただけますでしょうか。

宮下:
本校は千葉市中央区の東の端の方にあるんですけれども、駅で言いますと京成千原線の「学園前」という駅がありまして、その駅前に立地している学校です。京成千原線の学園前といっても場所はわからないかもしれませんが、JRの千葉から京成千葉に出ていただいて4つ目の駅。ほぼ京成千葉から10分程度のところに位置しています。

学校の周りは、この20年ぐらいでベッドタウンが開発されて、周辺のエリアをおゆみ野といっていますが、宅地が非常に開かれている、そんな環境でございます。

おおた:
その20年よりも前は、周りは田園風景だったのですか?

宮下:
もともとこのへんは本当に何もなくて、実は鉄道が通ったのも今から25年ほど前で。

おおた:
そんな最近なんですか。

宮下:
ええ。それまではJRの蘇我駅からバスで生徒を送り迎えしていた学校なのですが、京成線ができたおかげで駅前になったということです。

おおた:
知りませんでした、ありがとうございます。
そういった立地にある千葉明徳さんですが、最近の学校の様子はいかがでしょうか。校風ですとか生徒たちの様子がわかることをお話いただければ。

宮下:
本校は、もともと高校には100年近い歴史があるんですけれども、中学校が開設したのは2011年、今から12年前ということでまだ歴史が新しい学校です。

本校は中学校が開校以来、「まとめて書いて発表する」という取り組みをしておりまして。

おおた:
まとめて書いて発表する。

宮下:
はい。とにかく色々な場面で、もちろん授業もそうですが学校行事や学活の時間に、とにかく生徒が何か課題に対して考えてそれを発表するという場が非常に多いです。特に代表的なのは、毎朝取り組んでいる1分間スピーチです。日直が毎朝の朝の会で、1分間でスピーチをすることになっています。

とにかく生徒は、色々な場面で発言をさせられる、ということなのです。生徒の様子はその意味で非常に「あてるとよく話す」と、そんな特徴があるかなと思っています。

おおた:
あてられちゃうとそこで腹を決めてしゃべるしかないぞと。

宮下:
そういう感じですね。

おおた:
そういう構えができているということですね。

Topics2:沿革

探究活動を中心にした教育を進めて行こう

おおた:
そういった雰囲気の学校だということですが、そもそもどういった方がどういう志を持って作った学校なのか、学校の歴史的背景について教えていただいてもよろしいでしょうか。

宮下:
先ほど申し上げたとおり、本校はもともと高校が母体の学校でして、1925年に創立者である福中儀之助(ふくなか・ぎのすけ)という先生が本校をつくりました。もともとは女子教育(でした)。大正時代、当時はまだ男女の教育の差別があって、女子には中学校・高校・大学といった男子が歩むような道がなくて小学校で終わってしまうようなそんな時代であったわけですが、小学校に続く過程として高等女学校という形で開設したのが始まりです。

おおた:
ちょっとだけリスナーのために補足させていただきますと、高等女学校というのは小学校を卒業した女子が4年ないし5年ぐらいの期間を通う、男子が中学校に通っていた、その中学校もだいたい5年間でしたが、それに相当する女子教育ということで制度として高等女学校という呼び方が戦前にあったわけですが、そういった形で1925年に開校したということですね。

宮下:
それでもう100年近い歴史があるのですが、中学校が開校したのは2011年。ちょうど東日本大震災の起きたすぐその直後に実は開校したというようなことでございます。

おおた:
大変なスタートでしたね。

宮下:
はい。それ以来、特に中高一貫教育、今の社会のニーズといったらいいのでしょうか、特に、いわゆる探究活動を中心にした教育を進めて行こうということで中高一貫教育を始めました。それで今、2023年度でちょうど12年ということで、一貫生が6年間で2回りした形になります。卒業生もまだ7期生しか出ていなくて、まだ最初は人数も少なかったものですから、卒業生の合計も237名です。まだまだ。

実はこの5月に、ホームカミングデーということで卒業生を集めて在校生と交流するような機会を設けました。特に一貫生と全体のつながりというものをOB・OG組織として作っていきたいというようなこともありまして。そんな企画で卒業生・在校生をつなげるような活動を今、しています。

おおた:
先生、ひとつ質問なのですが、中学ができてから学校の雰囲気は何か変わったのですか?

宮下:
はい。大学合格実績という意味で、やはり中高一貫ということで、本校も実は周辺の地域からも注目を集めるぐらい、かなり上位の難関大学に合格するようなことがでてきましたし、また特に、千葉市の中央区というのはこれまでなかなか、いわゆる私立の中高一貫というものが地域になかったものですから、特に地域社会に私立の中高一貫という選択肢があるのだということで地域社会の見方が変わってきたのかなというところがございます。

おおた:
そしてあれですね、今ちょっと学校の歴史の年表を拝見していたら、もともと1925年は高等女学校として創立されていて、その後も女子校として基本的には来たのですけれども、1974年に高校を共学化して。

宮下:
その時はまだ共学ではなく、最初は男子部ができて、男子部女子部とわかれていました、共学になったのはそのあと10年ぐらいしてからだと思います。

おおた:
分かりました。あともうひとつ質問してもよろしいですか?創立者の福中先生はもともと何をされていた方で、どうしてこういった学校をつくろうと思われたのでしょうか。

宮下:
この方はもともと兵庫県の、今までいう三田市、山間の市ですが、そちらの農家の出身です。非常に貧しい農家だったのですが、優秀なお子さんだったそうで、お金のない中、当時の神戸師範学校のほうに進んで、それで教育の世界に入ったということです。

当時でいいますと師範学校は本当にエリートで20代で校長先生を務めたんですけれども、実はその間、色々ありまして、千葉のほうに移ってきまして。その後(中略)当時の教育長にあたる役職なんですけれども、その教育長をずっと務めた後に、教育長としての仕事が定年になったあとに、さきほど申し上げたように女子教育というものに目覚めて私費を投じて本校をつくったという、そういう経緯でございます。

おおた:
ちょうど大正時代にできた学校って多いんですよね。

宮下:
そうですね、そういう学校が多いと思います。

おおた:
ちょうど今、100周年を迎えるような学校が多くて。大正自由教育や大正デモクラシーの流れの中で、教育を充実させていこうという世の中的なムーブメントがある中で、私財を投じて作られた学校というのが多かったと思います。その中のひとつ、そういう流れの中でできた学校だということですよね。ありがとうございます、勉強になります。

Topics3:保護者様へのアドバイス

聞く側が自分の興味で引っ張ってしまってはいけない

おおた:
そういった歴史の中で育まれてきた千葉明徳さんの教育ですが、その教育のエッセンスをなにか一般のご家庭でも取り入れるヒント、あるいは子育てのアドバイスのようなものをいただければと思うのですがいかがでしょうか。

宮下:
本校は特に、中高一貫教育を始めてから、私達教員も教育の在り方ということで、いくつか大事なポイントがあると思っています。私は今、ここでは3つのことをお話したいと思います。

おおた:
お願いします。

宮下:
1点目は生活習慣、学習習慣。6年間の特に中1・中2の段階というのが非常に大事で、生活習慣また学習習慣を確立させることがそのあとに学力を伸ばしていく下地をつくるためにものすごく大事だと感じています。

その意味で毎日の生活がちゃんと規則正しく、かつ1日の生活の中に必ず学習をするという時間が設けられている、このあり方がまず土台においてすごく大事なことだと思っております。それが第1点です。

次に第2点が、先ほど申し上げた「まとめて書いて発表する」という取り組みなんですけれども、とにかく生徒が主体的に話すということは、当然、生徒が自分自身の問いを持ち、それに対する答えを自分自身で探ろうという、そういうことが自分自身の中でなされていると思うのですが。できるだけ話す中で、何かそれを生徒自身、あるいは子ども自身に(1)化して、それで話させたい。

<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉の組み合わせは何でしょう?

テスト

つまりどういうことかというと、まわりから後追いで「それからどうしたの」「これはどうなの」というような口をはさむと、自分自身の(1)が子どもの中にできないと思うんです。

ですので、できるだけ耳だけを傾けるというようなそんなことをすることが大事かなと思っております。

3点目ですが、本校は特に入学して1年、2年の間には総合学習で土と命の学習をしております。

おおた:
土といのち。

宮下:
これは実際に校内にあります田んぼと畑で農作業をしながら、そこからテーマを見いだすというような。そこでなにか学習テーマ、研究テーマを見つけるという取り組みなのですが、自然に触れるということは子どもたちに何かそこで発見とか問いというものを見いだす機会がすごく多いのではないかと思います。

おおた:
ですね。

宮下:
たとえば稲作をしている中で、これから温暖化していったらいったい稲作はどうなってしまうのかとか、あるいは虫よけするにはどうしたらいいのかとか、あるいは日本の食文化の中でこれから米がどうなってしまうのかとか、そんな問いがどんどん生まれてくるわけなんです。

おおた:
そうですね。

宮下:
自然に触れてそこから何か不思議に思うことが子どもにとって大事ではないかと思っております。

おおた:
ありがとうございます。そうすると、それぞれのご家庭においても――なかなか畑があるというおうちはないでしょうけれども――身近な自然に触れるよって問いが生まれる機会を増やして。自然に触れることによって、いわゆるセンス・オブ・ワンダーといわれるような機会がたくさん訪れますものね。

宮下:
まさにその通りです。

おおた:
そのセンス・オブ・ワンダーは、その人にとっての問いになっていきますし、今の3ついただいたお話を3番目からさかのぼっていきますと、センス・オブ・ワンダーによって生じた問いに対して、2つ目のまとめて書いて発表するというプロセスの中で自分なりの答えを探り、それを今度は人に話すときに、その子のストーリーとして話してほしい。聞く側が自分の興味で引っ張ってしまうのではなくて。

宮下:
そうですね、その通りです。

おおた:
その子が考えて、その子が話したいようにその子のストーリーに耳を傾けてあげるという姿勢が大事ですよ、というのが2点目にありまして。

1点目は、その前提として、特に中学1年生・2年生というような低学年のうちに規則正しい生活、そしてその生活の中に――「少しでも」と言っていいかわからないですが――必ず学習時間を組み込んで、それを当たり前の生活として自分の体にしみこませていくということが大事ですよというアドバイスかと。

宮下:
ありがとうございます。上手にまとめていただきました。

おおた:
いえいえ、そんなことはないです。ちゃんと、もともとのお話がつながっていたので。逆にたどって一点おさらいをしたのですが

最後にひとつ質問があるのですが、特に中学1年生、2年生、特に中学受験を終えたあとのお子さんに「規則正しい生活」ですとか「少しでもいいから勉強の時間をちゃんとつくりなさいよ」というのは、親にしてみれば言うは易し…ですごく難しい課題だったりしますよね。

世の中には今、いくらでも中学生を惹きつける誘惑がたくさんある中で、親として生活習慣や学習習慣を身に付けさせるコツみたいなものをいただけたらありがたいと思うのですが、いかがでしょうか。

宮下:
本校は、実は日誌を毎日付けさせているんです。

おおた:
日誌、なるほど。

宮下:
特に中1・中2は、1日の計画をたてて、それをちゃんと実行できたかを毎日書かせて、1ページ。それを毎日朝に提出すると。それに対して先生がコメントをするというような、そういう取り組みをしているのです。実際、できたかどうかということを記録を取るといいかもしれないですよね。

おおた:
そうですね。

宮下:
それに対して叱るとか注意をするとかではなく、コメントで返してあげるとか。そんなちょっと日々の生活を客観視して見るようなことが必要かなと思います。

おおた:
なるほど。時々、振り返りの機会をつくることによって自分を客観視する、いわゆるメタ認知と言われるような認知を自らに向けることによって、ただ単に流されていくのではなく自分はちゃんとしているかなという、そういう視点を御家庭でも意識して養っていくことが必要だというアドバイスかなと理解いたしました。

宮下:
はい、その通りです。

おおた:
ありがとうございます。

校長室訪問、今回は千葉明徳中学校・高等学校 の校長、宮下 和彦生生にお話をうかがいました。宮下先生、ありがとうございました。

今回の内容のご感想やコメントなど、ぜひお送りください。
(私たちが責任をもって文化放送さんにお届けします)

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