鷗友学園女子中学高等学校 大井校長先生のお話・穴埋め式まとめノート③

この記事は、文化放送PodcastQRで毎週月曜日に配信されている「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」の内容を、確認クイズ付きでWeb再録したものです。

配信内容の主要部分を書き起こすとともに、その一部を「穴埋め(ブルダウン式の三択)」クイズにしております。

番組を聴きながら穴埋めを完成させて、楽しみながら学校への理解を深めていただければ幸いです。

今回お届けするのは、
鷗友学園女子中学高等学校(東京都世田谷区)の校長である大井正智先生のお話(全4回)の第3です。

※その他の回をお読みになる場合は、下記リンクをご利用ください。(配信後、順次追加していきます)
第1回  第2回  第4回


番組の聴取は下記より↓↓

【大切なお願い】

※このWeb再録は、「【中学受験】おおたとしまさの『校長室訪問』」をより楽しんでいただくための取り組みとして、文化放送様の許諾をいただいて実施している特別企画です。

クイズを楽しんでいただいたあとは、ぜひページ末尾のアンケートフォームから、番組のご感想やリクエストなどをお送りください。

この企画を続けていくことができるかは皆さまのお力にかかっております。ご協力、どうぞお願いいたします!

※本テキストの著作権は、株式会社文化放送に帰属します。本テキストの一部または全部を無断で複写・複製することは法律で禁じられております。

Topics1:BYOD

2022年度から中学校にもBYODを導入

おおたとしまさ氏(以下、おおた):
今回は対談の第3回目ということで、(中略)そういった学校の歴史を受け継ぐ校長先生として、最近気になっているニュースや社会課題について教えていただきたいと思っています。先生はどんなところに今、注目をされていらっしゃいますか?

鴎友学園女子中学高等学校
大井正智
校長(以下、大井):
鴎友学園は、中学・高校の学びはそのまま大学、社会へと続いていくというふうに日頃から考え、授業や学校行事にあたっています。つまり、「中学・高校は大学へ送り出せばそれで役割は終わりだ」というふうには考えていないんです。生徒一人ひとりが、長い人生に飛び立つための「(1)」、それが中学・高校時代だと考えています。

たとえばBYOD(Bring Your Own Device)という今、本校で取り組んでいるものは、2018年から高校でそれを取り入れて授業を行っています。簡単に言いますと、自分の持っているデバイス、これはスマホでもパソコンでもiPadでも、自分の持っているものを持ってきて授業に使っていいよ、ということをしています。

これに関しまして、社会では今、特に小学校でも電子機器を使うようになってきましたので、来年度(2022年度)より中学生にもこのBYODを導入することにしました。実際に社会の変化などにもあわせて、中学生だとそれを使ってもいいよねという考え方なんです。

ただ、我々の考え方としては、4つのポイント生徒に話しながら使ってもらっています。

<確認クイズ>
(1)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

BYODのルールはとてもシンプル

大井:
1つ目は、「自分の持っているデバイスに愛着を持ちましょう」。「何々ちゃんは新しい〇〇(デバイス)を持っているからいいな~。買って!」ではなく、自分が持っているものを大切にしようということをずっと言っています。ですから、名前を付けたりシールを貼ったりしてかわいがって使っていますよ。それがすごく大切だなぁと。

2つ目は、今までは携帯を(学校に)持ち込むということに対しては、教員にもすごく緊張感があるといいましょうか、どうしようか…と色々細かなルールを考えだしそうな雰囲気にもなったんです。会議の席で。でも、その時に色々話しているなかで、いやちょっと待てという話になりまして。もっと大きく生徒に向かっていこうじゃないかと。

じゃあこうしよう、「(2)のルール・マナーを守りましょう」、これ1本で行こうということになりました。(2)のルール・マナーを守るということは、たとえば、歩きスマホはだめだよねとか、そういうことに関して、校内で何かあったらやめようと。

3つ目は、「文房具のひとつとして使いましょう」。BYODで使うデバイスは文房具だと。消しゴムとかシャープペンシルと同じで、みんな自分のものを持っていて、自分のものに愛着を持つのと同じように、学びのためのツールなので、文房具として使いましょうと。たとえばゲームをやっていたりしたら、それは学びのツールとして使っているわけではないよね、ちゃんと使おうねと言おうと。

おおた:
少なくとも学校では文房具の用途として使おう、というメッセージが含まれているんですね。

<確認クイズ>
(2)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

みんなバラバラ」は社会に出てからと同じ

大井:
そして4つ目は、「(3)時間も大切にしましょう」です。どっぷりはまるのではなく。
面白いんです。うちに帰るとパソコンを使っている子が、学校ではノートとシャーペンを使っていることもあって「学校で授業を受けるときはこっちのほうがいいんだけど」と言っている生徒もいたりして。そこはそれぞれなんです。ですから、みんなでロイロノートを開くという時にはみんな使いますが、普段使わなくてもいいんだったら別にノートとシャーペンでも構わない。

おおた:
逆に、(パソコンを使って)かたかたとキーボードを打っている人もいる。

大井:
います。学校で貸し与えるとか買って与えるとかだと、みんな同一機種になるじゃないですか。そうやって先生が「はい、開いて」「はい、作って」ではなく、みんなバラバラですから、それこそまさに社会、大学(と同じ)だと思うんですね。大学や会社で同じ機種を使うことはありませんよね。貸出はあるかもしれませんが、同じ機種ということはない。やはり自分の持っている機種を使う。そういう形で進めだしました。

<確認クイズ>
(3)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

Topics2:信頼の前貸し

BYODを導入した年から、生徒が毎年…

大井:
これは本当によかったなと思うんです。ごちゃごちゃとした(細かい)ルールにしなくて。というのは、それをやったことによって、子どもたちもすごく、こちらの気持ちを察してくれたと言いますか… BYODが始まったのは私がちょうど校長になった年だったのですが、その時に、生徒会の子たちが「自分たちで全校生徒に話をさせてくれ」と言ってきてくれて。我々が頼んだのではなく、生徒たちが。

当時は高校生だけがBYODでしたので、生徒に向かって「高校生のみんなに考えてほしい。たとえばLINEで連絡するのは、中学生は持っていないんだからそれはダメだよ。情報の偏りが生まれちゃうから気を付けてね」とか。「自分は写真をSNS上にアップされて嫌な思いをしたことがある。そういうヘンな使い方をしてはダメだよ」と言ってくれたり。先生たちが(4)してくれているから、私たちもこういうことを言いたいよねということでやってくれたみたいで。すごく嬉しかったですね。

毎年、手を変え品を変え、「自分たちも言う」と――まるっきり同じことは言わないんですけれども――こういうことを気を付けようね、こういうことをしようね、と(生徒自身が)言ってくれるのが毎年、習慣化しています。

おおた:
それがひとつの文化になりつつあるということですよね。
私の中では、鴎友というのはすごく自由な学校で生徒を(4)するイメージがあるのですが、「生徒を(4)する」とか「自由にさせている」というと、世の中一般的には、たとえば「それはデキる子”だからできるんだよ」という、そんな言い方をされることもあるのですが…

<確認クイズ>
(4)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

大人が腹をくくって子どもを信頼すれば…

おおた:
展でも今のお話というのは、先生たちも初めて(BYODで)デバイスを持ってくるという時にはドキドキで、つい細かいルールを導入したくなってしまう欲求があったわけですよね。でもそこで、ある意味――これは私の表現ですが――「信頼の前貸し」みたいなものをされると、子どもってそれに応えようとするんですよね。

大井:
いい言葉ですね。そうですね。

おおた:
それを最初から「いや、心配だから」って大人の都合であれこれルールを決めてしまうと、「先生、これはやっていいんですか?いけないんですか?」とか…そんなふうになっていってしまう。

大井:
そうそう。自分で(5)なくなってしまうんですよね。

おおた:
そこを「生徒を信頼する」と大人が腹をくくると、子どもも見事に期待に応えてくれますよね。
とてもいい話だと思います。ありがとうございます。

大井:

前の年の、色々な終わったあとの感想も書いてもらって、それを次の代に出すんですね。それを読んでいるとすごく面白いことがいっぱいあって「YouTubeを始めるとダメになるぞ」みたいなことが書いてあったり、タッチペンは、どこかの高いペンではなく100均で売っているような安いものを使っていて、それに強い信頼を私は持っていると書いてあったり。面白いです。先輩の背中を見て次の代が使っていくこともできているかなと。

おおた:
自分で頭を使って考えているからこそ、そういう面白いコメントが出てくるんですね。いきいきとした。

<確認クイズ>
(5)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

あえてバラバラなBYODを選択した結果

おおた:
文科省がGIGAスクール構想を進めていて、一律のデバイスを配布して。私立の学校であっても1人1台のiPadを持たせるようにしましたというのがよくあるパターンで、学校のウリになっていたりもするのですが、(鴎友は)あえてバラバラなBYODを選択したというところに、またひとつ大きな意味があるかなと思っていて。

大井:
本当に、それをやったことによって、我々がたとえばこの機種をどう(操作)やるの?と言われても答えられないんですよね。(だから)「それは〇〇ちゃんがわかるよ」みたいな感じで、生徒間のがまたよくとれるようになってきたなと。それは予定していたものではなかったのですが。

先生って何でもわからないとカッコつかないじゃないですか。でも、こういうふうに(デバイスは)「なんでもいいよ」とやったら、(生徒が)来たら「わからない!」と言えるので、すごく(6)なと。

おおた:
ある意味、持っているデバイスの多様性があって、みんながみんな同じにはできない、わかる人はわからない人を助けたりとか。

みんなが同じデバイスを持って同じアプリを入れて同じように使っていると、それこそ「これ、どうすればいいんですか?」と「右下にこういうボタンがあるでしょ」とそんなふうに、それが全部マニュアルになってしまう、みんな考えなくなってしまうというところも一方であって。

便利な面もたくさんありますが、そういうネガティブなポイントもありますが、それがBYODはケースバイケース、その都度で考えて対応していかなければならない。大変さもあるけど楽しさもあるという。

大井:
子どもたちがこちらの予想しないようなことを色々やって、「ああ、こういう使い方があるんだ」というふうにいろいろ驚くし、素晴らしいなと思います。

おおた:
先生たちも臨機応変な対応は大変だと思いますが、その分、得るものも大きいかと思います。

<確認クイズ>
(6)に当てはまる言葉は何でしょう?

テスト

いかがでしたか?
鷗友学園女子中学高等学校の大井正智校長先生のお話・次回(第4回)配信分のテキストは こちら(準備中) からご覧いただけます。


今回の内容のご感想やコメントなど、ぜひお送りください。
(私たちが責任をもって文化放送さんにお届けします)

こちらのフォームにご入力をお願いいたします↓↓